昔の寝具3 布団の普及が住まいを変えた

輸入されたガラス窓は江戸時代から出島等であったが、文明開化により、明治末頃日本でも生産が可能になった。当時のガラスは手作りで歪みのある代物で日本製のガラスは輸入品には太刀打ちできなかったが、ガラス窓自体は上流階級の住まいで徐々に取り入れられ始めた。第一次世界大戦のため、ガラスの輸入が難しくなり国産を後押しする声が増え、工場生産も可能になった。
一般庶民に広がり始めたのは、関東大震災の後である。復興のためガラスをはめた格子窓が流行し、一般庶民にも広がりだしたのだ。

そして現在の住まいは……
開放的になった古い家屋ほど隙間風に悩ませられるという事態に陥り、薄い壁では寒く、一枚ガラスでは満足ができなくなった。夏の日差しは風通しをよくした程度では間に合わず、冷房機器も発達し、夏仕様の住まいにこだわる必要がなくなってしまった。
また、住居が密集しているため、プライバシーを守るため年中カーテンを引き、窓を閉め切っている家庭も多くある。非常にもったいないと感じてしまう。(最近では密集した住宅地でも、空家が問題になってきているが…)

そして、冷暖房費を大量消費するのではなく省エネやエコが叫ばれ始めた。現在は、いわば住まいの転換期なのではないだろうか?
北国を中心に北欧のような断熱素材を用いた分厚い壁やら床と、エコガラスで気密性や断熱性を上げ、エネルギー効率を見直した家屋が、少しずつだが増え始めている。冬を意識して建てられた家屋は、窓は小さいことが多く、昔々の日本家屋のイメージが頭をよぎる。居心地の良い住まいを目指した結果、昔に戻っているのだろうか?

それは違う。
窓もガラスも、寝具も家電も進化している。日本より寒さの厳しい北欧では大きな窓を付けることが流行りだしているようだ。エネルギー効率が良く、開放的で居心地の良い空間が求められている。日本でも室内扉や、ベランダ窓等は天井近くまである住まいが増えている。やはり開放感を求めた結果である。照明器具が発達し、煌々と室内が照らし出されても自然の光を選んでしまうものなのかもしれない。
(また、

より良い住まいを得るためには、太陽の光も、風も必要なのだ。
そのために、今、窓の見直しが進められている。